あなたがこの街にやって来たのは、ちょうど1年前の今日でした。
目黒川にかぶさる桜の木の下を歩いた事を昨日の事のように思います。 自分に許された東京での1年間を最大限に有効に、 限定された四季や洗練された都会の時間を楽しむあなたを羨ましく思っていました。 身の周りのものすべてがあなたの為のものであるかのようにとても輝いて見えました。 駅まで歩くいつもの道に新しい発見をする事がほとんどないように、 僕の東京での生活に新しい何かは明らかに欠落していて、 あなたと過ごした時間はそれを補って余りあるものでした。 学生のころあなたはカメラを通して僕に新しい目を与えてくれました。 そして僕はこの1年間それまで自分が持ち合わせていなかった色覚を与えてもらった気がします。 僕たちは数えきれないくらい一緒に酒を飲み、言葉遊びを繰り返し、そして旅をした。 その全てが色に満ち溢れていたと言える。 いつかあなたに「僕は言葉を間引いてしまう。それによって大切なものが損なわれてしまう。」 と話したのを覚えているでしょうか。 何も言わない事で何かを伝える手段はあるけれど、そして僕はそのスタンスが好きだけれど、 それでは伝えきれない事を伝える為に、僕はいま言葉を使います。 あなたは遠い街で新しい生活を始めます。 そこであなたが手にするものは、どれも輝いているでしょう。そう確信しています。 慣れない色眼鏡とともに、僕は住み慣れた東京での生活を続けます。 僕は新しい何かを見つけられるだろうか。 その記録をここに残していこうと思います。 #
by sonodasatoshi
| 2008-04-01 02:11
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